れじゅろぐ

れじゅめ の ぶろぐ

マシーン・ドゥ・シルクに学ぶ舞台音楽

8/5に愛知県小牧市市民会館で公演があった「マシーン・ドゥ・シルク」を観てきました。

 

 

カナダ・ケベック州発、日本初上陸の現代サーカスカンパニー。関東のほうのジャグラーさんが「行ってよかった」とつぶやいてるのを見つけて、あわてて予約しました。

 

無骨で緻密なステージセット

時は近未来。滅びかけた地球で生き残った5人の男が、生存者を見つけられるという機械をなんとか動かそうとする——というのが本作のあらすじ。

荒廃した世界を象徴するステージセットはまるで工事現場の足場のようで、その中に一輪車やシーソー、ブランコといったサーカスのアイテムが上手く配置されています。ギミックもたくさんあって、いろんなものが連動していたり予想もしなかった場所が動いたりと巧いつくりでした。くそー、やられた(褒め言葉)

 

言わずもがなハイレベルなアクトと

この作品、出演するキャストはわずか5人ながら、個々の能力が本当に高かった。アクロバットして、ジャグリングして、クラウンして……と多彩なパフォーマンスをたった4人のサーカスアーティストで、それもめちゃくちゃハイレベルで提供し、観客を飽きさせません。あと舞台を通しで観たときの緩急のつけかたがうまい……動と静、緊張感と親しみやすさをいいさじ加減で配置していて、観ていて楽しかったです。

サーカスらしい技術のすごさは、もっと知識ある御方が語ってくれるのを期待しておくとして、先ほど「キャストがわずか5人」「4人のサーカスアーティスト」と出てきて、あれ? 最後の1人はなにをしてるんだろう? と疑問に思った方は鋭い。

実はこの作品のキャストは「4人のサーカスアーティストと、ミュージシャン1人」で構成されていて、ここが個人的に一番推したいポイントです。

 

リアルタイムに舞台上で演奏される音楽の魅力

ミュージシャンが演奏する楽器は多岐に渡る、というか、もはや楽器に限りません。プラスチックパイプだったりステージセットの鉄骨だったりするし、ドラムスティックがジャグリングクラブになっていることもありました。生楽器から機械音まで確かな技術で弾きこなします(一緒に観に行った音大生も絶賛していました)
他の4人がダイナミックなアクトをするので彼だけが浮くようにも思えますが、けっしてそんなことはなく個性的なキャラクターの1人として舞台を彩っているからまたすごい。

舞台やルーティン披露、それに類するパフォーマンスで、予め用意した音源を流して使うことはよくあるし、それを否定はしない(仕方ないことが多いし、良さももちろんある)けれど。せっかくの「生の」パフォーマンス、それに生演奏の音楽が寄り添うとこれほどまでに息づくのだと実感せざるを得ませんでした。

演奏者とパフォーマーで完全に分離してしまうのは(比較的)難しくないけれど、それをせず全員がキャストとして舞台に立っているところもまた良いなあと。

 

存分に"実体験"を与える作品

演劇、アクロバット、音楽。生の要素を重ねれば重ねるほど、より生の魅力を最大限に活かした濃密な体験になるのかなと感じた作品でした。贅沢すぎた。ロングラン公演していたら通ってしまうと思います。

素敵な舞台を作ってくれた関係者の方々と、この舞台を25歳以下1000円で見せてくれた愛知県さんありがとう。

 

 

以下、舞台情報ログ

とき・2018/08/05(日) 14:00開演(日本ツアー4会場目/5会場)
ところ・小牧市市民会館 大ホール
シアターサーカス MACHINE DE CIRQUE マシーン・ドゥ・シルク