れじゅろぐ

れじゅめ の ぶろぐ

第4回JSP:ジャグリングと舞台の共存案の模索

お久しぶりのブログ更新です。
本日の話題は、10日前に京都で公演のあったJSP第4回公演『天使・ペテン師・泣き虫』。 (関係者や更新を待っていてくれた方、10日もかかってすみません……!)

仲良しのジャグラー数名が出演するとのことで、かねてからジャグリングと舞台との共存にも興味があったので観に行きました。
拝見したのは13時開演の昼の部。本作品の初演回でした。

ジャグリングと舞台、両面からのアプローチ

さてこの作品、ストーリー・ジャグリングの両面からとてもクオリティの高い作品に仕上がっていたと思います。当日のアンケートでも両方にかなりの高評価をつけたはず。
脚本の筋としても無理がなく、自然にジャグリングをする流れに持ち込めていたのが特に印象的で、この点脚本さんはほんとうにいい仕事をされたなと。

ジャグリング面ではキャスト欄に歴戦のジャグラーたちが名を連ねていたので、レベルの高いジャグリングはしてくるんだろうな……とは思っていましたが、ちゃんと一人一人にルーティンをする時間が用意されていたのは「ああ、この舞台はジャグリング勢をそう使うのか」と思いながら観ていました。
こういうステージではルーティンらしいルーティンをしてしまうと全体の雰囲気から浮く可能性があるように思えますが、それで浮かないのがすごい(二度目)
ジャグリングのクオリティそのものは、わたしの目線からは申し分なく称賛の嵐でよかったです……みなさん上手い……!

ストーリー面というか、演劇畑のキャスト勢は、共演者にほぼ演劇経験のないジャグラーを引き連れてよくぞあれだけのストーリーのある舞台を完成させたと思います。
ジャグリングをしない分影が薄くなるかと思いきや、それを上回る強個性だったりジャグラー勢と演劇の世界の橋渡し役だったりと、やはり雰囲気の作り方・場の使い方が上手いなという印象でした。お見事でした。

見逃せなかった舞台美術

まず舞台セット。モノクロで抽象的にまとめられていて、とても好みに刺さってきてました。センス……
抽象的なセットは(ジャグリング道具とも通じて)見立てを利用していろいろ使えるので個人的に好きです。最後の下手底面のネタもよかった。
照明とも絡んでくるのですが、ジャグリングルーティンシーンで舞台の雰囲気をがらっと変えるためにホリ(背景の白幕を上下から照らして単色orグラデーションをつくる照明)が利用されていたんですよね。
で、下手・上手にあった舞台セットと同じ雰囲気の吊り物が映える。
特にジャグリングの舞台では往々に高さが必要になってくるので、ジャグリングシーンでは上部空間を意識させたいんだろうなと思いつつ、でもジャグリングしていないときにはそこに何もないと空白を感じてしまって寂しい……みたいなところにうまくはまっていたと思います。あれは好きでした。

照明といえば役者を前から照らす追従スポットライト(PINスポット)を使ってきたのもおお! と思いましたし(PINスポットは操作のために一人一台つかないといけないはずなので、照明チームが大変)、プロジェクターの利用も上手いなと思いました。

あと縁の下の力持ちの衣装さんメイクさんとかもよかった! 雰囲気に合った衣装と照明負けしないメイクだったのでいいぞー! って思って観てました。

ここが惜しい! 今後の期待など

JSPのチーム、現時点でもかなりのクオリティだとは思いますが、残る課題はジャグリング勢がどれだけ舞台に溶け込めるかだと感じました。
立ち位置や立ち方、発声、動き等々、「演劇」としてみるとまだ自然とはいえないかなと。
おそらく脚本演出の方もそれを把握していて、比較的ジャグラー勢の負担が軽くなるようにセリフ振り分けや配置を考えているのだと思いますが、そうじゃなくてジャグリング勢・演劇勢という垣根なく喋ったり動いたりできればより一層クオリティが高くなると思います。
もちろんめちゃくちゃ難しいのは理解しているつもり……でもそのうえでどうにかやってほしい!
今回の舞台が「ジャグリングと舞台の共存案として、今あるリソースを用いてつくることのできるひとつの解」だとしたら、いつか「ジャグリングと舞台の共存におけるひとつの完成形」が観れたらいいな、と感じました。

今後に期待は残るものの、とてもとてもクオリティの高い舞台鑑賞でしたし、同時に自分の中での「ジャグリングと舞台の共存」というテーマにヒントを与えてくれた舞台鑑賞でした。
キャスト・スタッフのみなさまお疲れさまでした。




以下、舞台情報ログ

とき・2018/09/15(土) 13:00開演
ところ・京都府立文化芸術会館
Juggling Story Project 第4回公演 『天使・ペテン師・泣き虫』
JSP ジャグリングストーリープロジェクト